麦太郎 繭子 海老子夫人 女事務員 葱沢院長 袖原さん 其他無言の人物 第一場 公園の一隅——杉の木立を透して黒板塀が続いて見え、梅雨晴れの空に赤瓦が光つてゐる。 小径を前にして朽ちかけたベンチが一つ、サイダアの空瓶や新聞紙の丸めたのや蹈みつけられた折などがあたりに散らかつてゐる。 繭子を先頭に、麦太郎、海老子夫人が現はれる。